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大気環境学会誌
Vol. 52 (2017) No. 1 p. 1-11

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http://doi.org/10.11298/taiki.52.1

総説

本稿では移動発生源および固定発生源の燃焼起源エアロゾルの測定結果を紹介し、そこから得られた含蓄と今後の課題を述べる。移動発生源に関してはディーゼル車排気の影響が大きいと考えられる交差点の大気中個数濃度等を長期的に測定しデータを解析した。PM2.5等の質量濃度の減少傾向はディーゼル貨物車のPM2.5排出量推計の結果から自動車排気規制の効果と結論づける事ができたが、粒径50 nm以下のナノ粒子を含む個数濃度としては、ほぼ横ばいで減少していなかった。環境側との複合的な要因も示唆された。また個数粒径分布の空間分布を測定し、個数濃度は幹線道路から離れると急激に減少していた。これは希釈効果と相まって蒸発効果もあり、粒径、季節によって空間的な分布が異なった。ディーゼル車起源のナノ粒子としては寿命が短く道路近傍に限定された問題と推察された。今後はディーゼル一次粒子が低減するため、課題としては直噴ガソリン車からのスス粒子の排出、排気由来の二次有機エアロゾル(SOA)生成、非燃焼起源等の遷移金属の粒子発生が考えられる。

一方、固定発生源については半揮発性物質等を主体とした凝縮性ダストについて述べた。凝縮性ダストはPM2.5の未把握の発生源、SOAの前駆物質として重要である。凝縮性ダストは温度や共存する粒子状物質濃度などの捕集条件によって粒子態等としての排出係数が変化する問題がある。そこで測定条件に依存しない揮発性分布を凝縮性ダストの排出係数として表現した。凝縮性ダストの課題としては凝縮性ダストの測定法を確立した上で、様々な排出セクタでの測定や大気への排出量推計を行い、より精緻なPM2.5の大気中濃度の予測等に貢献していく必要がある。

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