大気環境学会誌
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研究論文(原著論文)
横浜市と東京都における夏季の揮発性有機化合物 (VOC) 同時観測調査
福﨑 有希子 石倉 淳士星 純也小森 陽昇志村 徹松永 壮上野 広行
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2018 年 53 巻 1 号 p. 13-24

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抄録

横浜市と東京都において、VOC濃度組成及び海風による大気塊の移流前後におけるVOC濃度組成変化から首都圏における高濃度Oxに大きく寄与しているVOC成分を特定するため、2014年と2015年の夏季にVOC同時観測調査を実施した。その結果、都内よりも横浜市内でVOC濃度及び最大オゾン生成能 [O3]maxが高く、都内ではアルデヒド類、横浜市内ではアルカン・芳香族のオゾン生成能組成割合が高いことがわかった。大気塊の移流前後におけるオゾン生成能の組成割合を比較したところ、アルケン・芳香族は減少、アルデヒド類は増加するという共通した傾向が見られた。また、移流時間が長いほど、ポテンシャルオゾンの増加率が高くなった。移流前後でのOx濃度及びオゾン生成能の増減から、m,p-キシレン、m,p-エチルトルエン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼンといった芳香族の減少率が高く、これらの成分が首都圏における高濃度Ox生成に大きく寄与している可能性が示唆された。

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© 2018 大気環境学会
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