大気汚染学会誌
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都市および農村住民における含鉄小体
小体の比率と相違について
君塚 五郎林 豊
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1983 年 18 巻 2 号 p. 127-131

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抄録

都市および農村住民の剖検肺261例より合鉄小体を抽出し, 個数および形態について比較検討した。
抽出された小体は4種のものがみられ, このうち2種類は石綿小体と考えられるもので小体の大部分を占めていた。含鉄小体の陽性率は都市例85.4%, 農村例87.8%であった。ビーズ状の形態をとる第I型の小体の陽性率は都市例92.0%, 農村例84.0%で両者の間に統計的有意差はなく, 又個数によって分けた場合の分布もほぼ同様であり, 環境全体に及んでいる石綿線維に基づくと考えられた。他方第IIの型は都市例に36.2%, 農村例22.3%にと有意に都市例に多く, 更に肺組織5g中50ケ以上の症例は都市の男性例のみであった。このことは第IIの型を形成する石綿線維が職業的環境に由来することを示唆していると考えられた。第IIIの炭素を中心とする小体は農村例に高率であったが絶対的個数は非常に少くなかった。また第IVの型もまれにのみ見られた。

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