抄録
C3H6-NO-SO2-乾燥空気系の光化学反応を長光路赤外分光光度計付設のスモッグチャンバーを用い, C3H6, NOおよびSO2の濃度を種々変化させて検討した。NO2生成速度はC3H6とNOの初期濃度比 ([C3H6] 0/[NO] 0) に対し, それぞれ2つの直線回帰式で整理され,[C3H6] 0/[NO] 0>6ではC3H6の光化学反応性指標としての直線の傾きはSO2の存在により大きく減少したが, 6より小さな範囲では比較的小さな減少を示した。一方, 最大オゾン濃度はSO2によって大きく影響されず,[C3H6] 0/[NO] 0依存性もNO2生成速度とは異なり,[C3H6] 0/[NO] 0が3~5に極大を持つ曲線となった。
SO2消失 (酸化) 速度はSO2初期濃度に一次に比例し,[C3H6] 0/[NO] 0<5では [C3R6] 0/[NO] 0に比例して増加するが5以上では急速に依存性は小さくなった。この速度は [C3H6] 0/[NO] 0全域 (2~20) でNO2生成速度とよい相関を示した。C3H6減少速度および03濃度から算出したOHラジカル濃度から予測されるSO2消失濃度は実測されたSO2消失速度の20%を越えないことが示され, 本実験系ではCriegee中間体のSO2酸化反応への寄与が重要なことを明らかにした。