大気汚染学会誌
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イオンクロマトグラフィーによる雨水中のイオン分析の検討
松本 光弘板野 龍光
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1984 年 19 巻 3 号 p. 247-254

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抄録
雨水中の陰イオン分析には, fast-run分離カラムとfiber-suppressorカラムを組み合せたイオンクロマトグラフィーを用い, 3mM NaHCO3-3mM Na2CO3の溶離液と1.65ml/minの流量で行えば, 6種の陰イオン (F-, Cl-, NO2-, SO32-, NO3-, SO42-) が, 簡便, 迅速, 安定かつ同時に測定できた。更に検出限界においてもイオンクロマトグラフィーは, 比色法による従来法よりもすぐれていた。しかしながら,'雨水中の陽イオン (Na+, K+, Ca2+, Mg2+, NH4+) の分析ではイオンクロマトグラフィーは1価と2価のイオンを別々に行わなければならず, 検出限界も原子吸光法, 炎光法, 比色法による従来法にまさる所がなかった。なお, 雨水中のSO32-とNO2-の酸化に関して, SO32-は光, 温度, 雨水中のFeイオンにより影響を受けて漸次酸化されるが, NO2-はSO32-に比べ比較的安定であった。
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© 大気環境学会
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