大気汚染学会誌
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ゲル浸透高速液体クロマトグラフ法によるアスファルト舗装道路から発生する粉じん中アスファルトの定量
北島 永一谷中 隆明
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1985 年 20 巻 5 号 p. 378-383

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抄録
アスファルト舗装道路で自動車の走行によって発生する粉じん (道路粉じん) 中におけるアスファルトの挙動を明らかにする目的で, ゲル浸透高速液体クロマトグラフ (GPC-HPLC) を用いたアスファルト定量法を検討した。
試料をベソゼン/エタノール (4/1) を用いて, Soxhlet抽出を行い, 得られた抽出液を100℃で加熱乾固した。この抽出物質をテトラヒドロフラン (THF) に再溶解してGPC-HPLCによって分析した。
道路粉じんは, 舗装材由来のアスファルト粉じん, 自動車排ガスと共に排出されるすすなどの粉じん (自動車排出粉じん), タイヤトレッドと路面との摩擦によって発生するタイヤトレッド粉じんなどによって構成されていると考えられるので, これらの構成粉じん毎に, 同様のSoxhlet抽出および分析を行い, 妨害について検討した。その結果, GPC-HPLCではアスファルト成分が最も早く溶出し, 分子量1,000において, λex285nm, λem400nmに設定した蛍光検出器で蛍光強度 (ピーク高) を測定することによりアスファルトの定量が可能であった。検量線はアスファルト流通ルート別に市販品4種類を用いて作成し, 比較検討したところ, 同じ傾きを示し, GPC-HPLC分析において0~8μgの間に直線関係が認められた。道路近傍で粒径別に捕集した大気粉じんに添加したアスファルトの回収率は, 97%(11μm以上の粉じん), 95%(1.6~11μmの粉じん), 97%(1.6μm以下の粉じん) と各々良好であった。また, 道路舗装に用いられた古いアスファルトであっても標準のストレートアスファルトを用いて定量することが可能であった。
以上のことから本法は, 環境における道路粉じん中のアスファルト分析法として適用が可能であると考えられた。
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