大気汚染学会誌
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新潟市における道路粉じん中のアスファルト
北島 永一谷中 隆明丸山 隆雄黒崎 裕人
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1985 年 20 巻 6 号 p. 438-443

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抄録

新潟市の市街地と郊外の対照地点において道路粉じん中のアスファルトについてその挙動を調査した。市街地の調査は新潟市役所近傍の4地点で行い, 道路粉じん試料として道路端堆積物 (1地点), 降下ばいじん, 大気浮遊粉じんを, また, 郊外の対照地点では, 降下ばいじん, 大気浮遊粉じんを分析対象とした。アスファルトの分析は各試料のBenzene/Ethanol (4/1) 抽出物質について, ゲル浸透高速液体ク獄マトグラフ (蛍光光度検出器付) 法によって行った。
調査の結果, 道路粉じん試料中のアスファルト濃度は夏季および秋季に低い値を示すのに対し, 冬季, 春季には高い値を示した。すなわち, 道路端堆積量は, 3月4月は他の月の約700倍, 降下ばいじん量では50倍, 大気浮遊粉じん中濃度では6倍, 冬季の値が他の季節の値よりも高い値を示し, とりわけ粗大粒子についてその相違は大きかった。市街地の道路端と郊外の対照地点を比較すると, 明らかに市街地のアスファルト濃度は高かった。市街地の4地点において調べた降下ばいじん, 大気浮遊粉じん中のアスファルト濃度は冬季には夏季よりも顕著に道路端からの距離に応じ減衰していた。これらの調査結果は, 冬季スパイクタイヤの使用による道路粉じん中アスファルトの増加を示していた。

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