大気汚染学会誌
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大気中の粒子状水銀の地域・時間的濃度変動とその生成過程
福崎 紀夫
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1985 年 20 巻 6 号 p. 444-450

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抄録

大気中の浮遊粉じんに付着した水銀 (粒子状水銀) をハイボリュームエアサンプラーおよびアンダーセソサンプラーに石英繊維炉紙を装着し, 工場地域, 都市地域, 田園地域でサンプリングした。加熱分解-金アマルガム捕集-加熱気化原子吸光光度法によって水銀を定量し, その大気中濃度の地域的時間的変動と粒径分布, 生成過程について考察した。
粒子状水銀濃度は地域差が大きく, 田園地域における粒子状水銀濃度はおおむね0.05ng/m3未満であり, 冬季に低値を示す傾向があるのに対し, 工場地域や都市地域では田園地域よりもはるかに高値を示し, ときには1ng/m3を超えることもあり, また, 濃度変動幅が大きいという特徴がある。
粒径分布と他成分との相関関係に基づく主成分分析とから, 粒子状水銀には加熱・燃焼等で人為的に発生するガス状水銀が同じ発生源のダストに吸着して生成し, 主に微小粒子として存在するものと, これとは別に田園地域では, 主に土壌由来粒子にガス状水銀が吸着して生成し, 主に粗大粒子として存在する2種類が存在すると考えられる。

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