大気汚染学会誌
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大気汚染と他の環境汚染との相関性に関する地域的研究 (第3報)
大気汚染物質と植物の葉中の金属含有量との相関
立本 英機中川 良三鈴木 伸
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1985 年 20 巻 6 号 p. 451-462

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抄録

千葉市内の環境汚染の実態を調査するために, 大気中の汚染物質と木本植物の葉中の金属含有量との相関について検討した. 木本植物はサンゴジュ, マサキ, カイヅカイブキおよびキョウチクトウを選び, それらの葉中のZn, Pb, Cd, Feの含有量を簡便法により測定した。一方, 大気中の粉じんはハイボリ箔ームエアサソプラーで採取したのち, 前述の種類の金属含有量を定量した。NOxおよびSO2は自動測定を行った。その結果,
1) 木本植物の葉中の金属含有量は, 木本植物の種類により大きく異なった。たとえば, 京葉工業地帯に近く, 国道16号線から東300mのH場所ではサソゴジュの葉中のZn, Pb, CdおよびFeの含有量はそれぞれ43~56μg/dry-g, 8.5~12.1μg/dry-g, 0.79~0.92μg/dry-g, 490~583μg/dryであった。
2) NOx, SO2および粉じんの濃度が高いときは, 特に木本植物中のPb含有量が高い値を示す傾向があった.
3) 木本植物の葉の金属含有量と大気汚染物質との間において最も高い相関係数を示したのはPb-NOx系, Pb-SO2系およびPb-dust系で, それぞれ0.87, 0.80, 0.88であった。

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