抄録
1983年7月26~30日に実施された, 東京湾沿岸地域から長野県東北部までの広範な地域での共同観測結果を用い, 光化学大気汚染気塊の長距離輸送時における硫酸塩, 硝酸塩等の挙動について検討した。
汚染気塊の流入時に, 内陸地域ではエアロゾル中のSO42-, NO3-, NH4+およびガス状HNO3濃度の顕著な増加が観測された。またSO42-, NO3-, Cl-, およびNH4+, Na+, K+, Ca2+, Mg2+を用いたエアロゾル中のイオンバランスは陰イオン側に片寄り, この原因として硫酸ミスト等の存在が予想された。
汚染気塊中ではガス状HNO3, NH3とNH4NO3粒子が主に気温, 湿度に依存した平衡関係にあると考えられ, そのため, 海抜高度が高く, 流入時間が遅い長野県東部では気温の低下により, HNO3の大部分がエアロゾル相に移行していた。
輸送中におけるNOxからHNO3, NO3-への酸化はOxの生成とほぼ同時に進行するのに対し, SO2からSO42-への酸化はこれより遅れて進行していると考えられた。