抄録
雨水試料の採取法と保存法を確立するために, 神戸地域で採取した雨水を用い, 室内放置, 冷暗所保存など種々の条件下で雨水のpH, 導電率および主成分の安定性を調べた。
4℃の冷暗所で保存されたポリエチレン製容器中の雨水のほとんどの主成分は5年以上の長期間, その濃度は変わらないが, NO3-濃度だけはわずかに増加した。しかしながら, この増加は化学反応によるものかどうかは明らかにされなかった。
ガラス製容器中で室内放置した雨水の主成分は10日~1か月間安定であるが, 1年程度のより長期の放置では雨水のpHの値は徐々に大きくなった。
雨水の主成分から見た場合, 雨水試料は概して安定であるといえるが, いずれの保存条件においても, 例外的に, pHとNH4+濃度が大きく変化する試料が存在した。