抄録
本邦においては例年春季にオキシダソト濃度が高値を示すが, 新潟地域も例外ではない。この原因として成層圏オゾンの沈降と地表付近における光化学反応によるオキシダソトの生成とが考えられる。大気清浄地域において広く一斉に高値となるなどのことから光化学反応による生成とは考えにくい。もし, 成層圏オゾンの沈降ならばやはり成層圏において生成されるペリリウム-7も同時に高値となると考えられる。そこで, 1983年から1985年の3か年の春季において新潟市でベリリウムー7を採取, 測定し, 田園地域のオゾン濃度と対比して考察した。
その結果, オゾン濃度とベリリウムー7濃度は新潟地域が春の移動性高気圧の背面にあたるときに, ほぼ一致して高値を示し, このような気象状況においては成層圏大気の沈降による影響の大きいことが示唆された。しかし, 両者の濃度変化は全く同じではなかった。これはオゾンとベリリウムー7の存在状態と成因の違いによるものと考えられる。