抄録
関東北部に所在する赤城山頂と山麓とで1年間にわたって実施したオゾン濃度の観測データなどをもとに, 内陸地域でのパックグラウンドオゾンの動態について検討した. 観測データは移動平均法を適用して周期と振幅とが異なる三つの成分に分離し, 各成分と気象条件との関係を調べた. 推定されたバックグラウンド濃度は, 春に最高値, 秋に最小値を持つ正弦関数型の年変化を示す. 日最高値が100ppbを超過する高濃度の大部分は高気圧の圏内に見出され, パタン的には, 春型と夏型の二つに分類できる. 前者は, バックグラウンドの濃度レベルが上昇する4~6月に発生し, 局地風系による高濃度気塊の影響が重畳する. 後者は, バックグラウンドの濃度レベルが相対的に低下する7-9月に発生し, 大気下層でのオキシダンドの生成と移流の効果が支配条件となる