大気汚染学会誌
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簡易オキシダントモニターに関する研究IIトリエタノールアミンとヨウ素との反応
杜 尭国古賀 修堀内 宣利鈴木 伸
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1987 年 22 巻 1 号 p. 24-28

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抄録

簡易型オキシダントモニターの作製の際, トリエタノールアミン (TEA) 緩衝溶液を使用すると, オキシダントによってKIから遊離されたヨウ素 (I2) 量が抑制される現象が見い出された。この原因の一つとしてTEAとI2が反応することが考えられたので, この反応性について溶液系を用いて検討した。
TEA-I2の混合溶液を酸性にしても30%のI2の消失がみられた。この結果, TEA-I2の反応が起こっているとして, 生成物の分析を行った。TEA-I2の水溶液を濃縮すると無色な微結晶が得られた。この結晶を, 元素分析法, 戸紙電気泳動法, ガスクロマトグラフィー, 赤外分光法, 質量分析法によって分析した。この結果, 生成物は, 付加体のTEA・HIであることが示された。この無色の結晶は水に容易に溶解し, 結晶の融点は167.5℃であった。
TEA-I2反応のもう一つの生成物はHCHOであった。これはFID検出器付のガスクロマトグラフで確認した。
実験結果から, TEA-I2の反応に対して下記の反応式を仮定した。
TEA+3I2+3H20=NH41+5HI+6HCHO
TEA (過剰) +HI=TEA・HI

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