抄録
岡山市を中心に採取したギンゴケ (Bryum argenteum Hedw.) の生体構成元素を放射化分析法により測定し, 大気汚染との関係について検討した。その結果, 相対的に大気汚染の高いと考えられる地点で採取されたものからは, 人為的大気汚染との関連の強い元素が相対的に高く検出された。金アマルガム冷原子吸光法による水銀測定結果もまた, 同様の傾向を示した。これらのことから都市部においてサンプリングの容易なギソゴケ中の水銀等の含有量を測定することによって, それらが大気汚染の指標となり得ることが示唆された。