大気汚染学会誌
Online ISSN : 2186-3695
Print ISSN : 0386-7064
ISSN-L : 0386-7064
雨水中の有機酸-カルボン酸-のイオンクロマトグラフィーによる測定と濃度
松本 光弘
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 23 巻 1 号 p. 64-71

詳細
抄録
雨水中のカルボン酸の測定に, 排除イオソクロマトグラフィー (以下, ICE法と略) の適用を検討した。その結果, 5種のカルボン酸 (ギ酸, 酢酸, プロピオン酸, コハク酸, グルタール酸) を迅速にかつ同時に定量することができた。しかし, シュウ酸とマロン酸についてはICE法では分離が悪いため, 通常のイオソクロマトグラフィーで定量した。
雨水中のカルボン酸は, 室温では数日で完全に分解するが, クロロホルムあるいは塩化水銀を添加することにより室温でも3ヵ月間以上安定であった。
雨水中のカルボン酸濃度の年平均値は, ギ酸0.181μg/ml, 酢酸0.112μg/ml, その他のカルボン酸は0.Ol8μg/ml以下であった。
雨水中の水素イオン濃度に及ぼすカルボン酸の寄与率の年平均値は, ギ酸3.89%, 酢酸0.59%であり, カルボン酸全体で4.94%と見積ることができた。
著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事
feedback
Top