一般風が小さくよく晴れて海陸風が発達したときには, 高濃度の大気汚染が問題となるが, 本報ではその複雑な流れ場での大気汚染物質濃度の予測を試みた。流れ場は大阪の8月を対象として海陸風の数学モデルで予測し, その流れ場における汚染物質の移流拡散過程, 沈着による除去過程, 光化学反応による変質過程を扱った。光化学反応モデルは池田の簡略化モデルIIを用い, 沈着現象はdry depositionだけを扱った。
計算によって求めたSO2, NO, NO2, O3などの主要大気汚染物質濃度の空間的および時間的変化は, 移流・拡散と反応により生じる各物質に特有の変化をよく表していた。また, 実測結果との比較においても, 計算結果の各物質の最高濃度が現れる時刻, 最高濃度の値などの一致がみられた。