抄録
水質分析で使用されているヒドラジン還元-NEDA法を排ガス中の窒素酸化物分析法として利用する目的で, 性能向上のための改良を行った。本法による硝酸イオンの還元率はpH, ヒドラジン濃度, 温度, 還元時間, 触媒量, 容器形状, 反応液量, 攪拌条件などの多くの操作因力が影響する。これらの操作因子の影響を実験計画法 (L16) を用いて検討した結果, 溶液のアルカリ度が最も影響の大きい因子であることが分かった。さらに, 還元率を向上させるには温度とヒドラジン濃度の組合せ効果が最も重要な要因となる。これら硝酸イオンの還元操作因子の最適条件を組合せて新しいヒドラジン還元-NEDA法の分析操作を決定した。提案した改良法の利点は次のようなものである。
1) 硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元率は93%以上である。
2) 標準試料による繰り返し測定の再現性精度は0.1%以下である。
3) 分析操作の改良により窒素酸化物の測定時間が短縮された。
以上の結果から, 本改良法は公定法 (亜鉛還元-NEDA法) より勝れた窒素酸化物測定法であると考えられる。