大気汚染学会誌
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完全混合モデルを用いた自動車排出ガス測定局のNOx濃度からの自動車NOx排出量の推定について
石川 義紀西田 耕之助
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1990 年 25 巻 4 号 p. 242-255

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抄録

自動車からの排出ガスの環境における濃度を排出量から推定することについては, 大気汚染対策を進めるうえで重要であることから, そのための拡散モデルがいくつか実用化されている。一方, 自動車から排出されるNOxの量を地域全体について正確に把握することも, 対策を進めるうえできわめて重要である。しかし, 現在用いられている手法ではその把握には多大の労力と時間を要する。そこで本研究では, 自動車排ガス出測定局NOxの測定濃度から, 測定局前面の自動車交通によるNOx排出量を推定することを試みた。
測定局におけるNOx測定濃度と自動車からのNOx排出量の間の関係には排出量推定のモデルとして完全混合型換気モデルを仮定した。また, 自動車からのNOx排出量については, 自動車交通量調査の結果から, 交通量一走行速度モデル (q-vモデル) とNOx排出係数によって求めた。大阪府域の2箇所の自動車排出ガス測定局を選定して排出量推定のモデルのパラメータ決定と再現性の検討を行った。その結果, 測定濃度から推定した排出量と排出係数から計算した排出量の相関は高く, 排出量推定モデルの再現性は良好であった。このことから, 簡易なモデルを用いることで自動車排出ガス測定局前面道路のNOx排出量を推定できることがみとめられた。

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