大気汚染学会誌
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夏期の大阪における窒素酸化物の酸化転換率の時間変動
岡 憲司前田 泰昭
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1990 年 25 巻 4 号 p. 270-279

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抄録

大阪において, オキシダントの日最高値が0.1ppmを越える日が続いた1986年7月下旬, PAN, 硝酸メチル, 硝酸ガスおよび硝酸塩粒子の一時間値を測定し, 各成分の挙動とNOxからそれらへの酸化転換率の時間変動を調査した。それぞれの平均濃度は, PANが6.1ppb (最高30.1ppb), 硝酸メチルが3.9ppb (最高32.5ppb), HNO3が6.2ppb (最高16.7ppb), NO3が生5μg・m-3 (最高17.0μg・m-3) であった。またNOxからの酸化転換率は最高0.50, 平均0.26であった (硝酸メチルを除いての最高は0.49, 平均0.23)。
硝酸メチルを除いては, いずれも一山形の経時変化を示した。まず早朝にNOが, ついで午前遅くにNO2が, そして白昼時にオキシダントとともにPAN, HNO3が日最高濃度を示した。またNOxからの酸化転換率も白昼時に最大値を持つ一山型のパターンであった。しかしNO3はそれよりやや早く, むしろNO2と共に日最高値に達した。硝酸メチルは午前中に高濃度が出現した。
NOxからの酸化転換物の中ではHNO3が平均41%(最高84%), PANが平均30%(最高60%), NO3-が平均13%(最高43%), 硝酸メチルが平均16%(最高87%) を占めた。PANの占める比率は白昼時に高く, HNO3とNO3-の占める比率は白昼時に低かった。硝酸メチルの占める比率は朝に高く, 次第に低下した。
PANとHNO3はオキシダントとよい相関があり, また両者の合計では更によい相関があった。NOxからの酸化転換率はオキシダントと非常によい相関を示した。NO3-はオキシダントとは相関がなく, NO2とはよい相関があった。硝酸メチルはいずれの成分ともよい相関を示さなかった。

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