大気汚染学会誌
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臭気物質の物理化学的特性に基づく嗅覚閾値の推定方法の検討 (第1報)
脂質親和性との関連性
大迫 政浩西田 耕之助松井 三郎
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1990 年 25 巻 6 号 p. 405-414

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抄録
本研究では, 臭気の感覚量の評価を行う上で必要となる, 嗅覚閾値の推定方法を検討した. すなわち, 閾値が臭気物質の嗅細胞膜脂質層への吸着, 溶解量に支配されると考え, リソ脂質コーティング剤充填カラムを用いたGC分析法を利用した, 脂質層への親和性指標の評価方法を新たに開発した. そこで, 各臭気物質の同族列ごとに親和性指標としての保持時間と閾値の相関性を検討した結果, 炭化水素類において両者の間に高い相関性があることが確認されたことから, 閾値の推定方法として, 炭化水素類に対しては本法がきわめて有効であることが判明した. また, 閾値と保持時間が高い相関性を有するという実験的事実は, 嗅応答の発現に, におい分子の脂質層への吸着, 溶解過程が大きく関与している可能性を示唆している.
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© 大気環境学会
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