大気環境学会誌
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ディーゼル排ガス粒子中の多環芳香属炭化水素化合物の呼吸器沈着率について
後藤 純雄杉田 和俊遠藤 治溝口 次夫石井 忠浩松下 秀鶴岩井 和郎
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1995 年 30 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

空気中の発癌関連物質の正確な経気道曝露実態を把握するための研究の一環として, ディーゼル排ガス粒子中の多環芳香属炭化水素 (PAH) の呼吸器への沈着率の測定を試みた。ディーゼル排ガスは1000rpm, 90%負荷時, およびアイドリング時のものを用いた。ディーゼル排ガスの一部をテント内に (日常空気の汚染濃度範囲で) 導入し, その中で協力者の呼気および吸気中のディーゼル排ガス中粒子を採取した。呼気中の粒子はHans Rudolphマスク等を用いて採取し, 吸気に相当するテント内空気中の粒子は低騒音型ローボリュームエアサンプラーを用いて採取した。採取されたディーゼル粒子中のPAH含有量をPAH高感度分析法を用いて測定した結果, 見かけの呼吸器内沈着率はほぼ50%となることが明らかになった。また, テント内空気の粒子濃度の上昇に伴って, 見かけの呼吸器内沈着量がほぼ直線的に増加することが明らかになった。

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