抄録
新潟県南西部・妙高山麓の標高の異なる2地点において, 積雪を層別に採取するとともにその間の降雪も採取し主要化学成分を分析した。層別に採取された積雪中の化学成分の分布から, 積雪層内で化学成分は上層から下層へと移動しており, また, 新雪, しまり雪, ざらめ雪となるにしたがって成分濃度の低下が見られることから, 雪の変態過程にともない成分の溶出があったものと考えられる。
両地点とも, 降雪と同一期間内に採取された積雪中の各成分濃度は, 降雪中のものよりも低く, 積雪からは化学成分の溶出があったものと考えられる。このとき, 成分間には溶出しやすさに違いが見られ, 海塩成分に関係するNa+, Mg2+およびCl-は, NH4+, Ca2+, NO3-およびSO42-よりも溶出しにくい傾向が見られた。更に, ある期間を経た同一積雪層中の含有成分量には含有量の減少が見られたことから, 各種化学成分は積雪中で上層から下層へと移動し, かつその一部は積雪層から溶出しているものと考えられた。