オゾン (O
3) と二酸化窒素 (NO
2) の複合暴露による気道反応性充進メカニズムを知るために, 本研究では, モルモットに清浄空気または0.2ppm O
3と2ppm NO
2を8週間連続暴露し, 第1群のモルモットについては呼吸機能とメサコリン (Mch) 静脈内投与 (静注) に対する気道反応性測定を, 第2群については, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中のロイコトリエン (LT) とトロンボキサンB
2 (TXB
2) 測定を行った。その結果, 対照群, 複合ガス暴露群, 回復群の3群間で呼吸器気流抵抗 (R), 動呼吸器コンプライアンス (Cdyn) の基準値, 静呼吸器コンプライアンスに有意差はなかった。8週間暴露終了後, 複合ガス暴露群のED
200R値は, 対照群の3.24±0.16μg/kg/minから, 2.29±0.29μg/kg/minに有意に低下した (p<0.05)。また, ED
50Cdyn値は, 3.67±0.46μg/kg/minから2.39±0.19μg/kg/minに有意に低下した (P<0.05)。次に, 複合ガス暴露群のBALF中のLTB
4値は, 対照群の94.7±8.7pg/m
lから139.5±8.8pg/m
lに有意に増加した (p<0.005)。TXB
2値は対照群の87.2±33.0pg/m
lから, 複合ガス暴露群の161.8±47.9pg/m
lに, 約2倍近く増加した。BALF中のLTC
4・D
4・E
4は, いずれの群においても, 測定下限値以下であり, 複合ガス暴露の影響を知ることはできなかった。これらの測定値は暴露終了後4週間後にはすべて正常レベルに回復した。以上より, O
3とNO
2を比較的長期複合暴露した後の気道反応性亢進メカニズムには, LTB
4とTXB
2が関与していることが示唆された。
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