大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
関東平野で観測された粒子状硫黄濃度の事例解析
桜島からの長距離輸送の影響
水野 建樹田中 ちえ藤村 満
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 31 巻 1 号 p. 20-29

詳細
抄録

都内の臨海部から埼玉西部にわたる関東の広域で, 夏期の夜間に粒子状硫黄濃度 (PIXE法による分析結果) が一斉に上昇し, またほとんど同時に下がるという特異的な時間変化が観測された。PIXE法によって得られた硫黄はほぼ硫酸イオンとみなされるが, 当日の気象や硝酸イオンなど大気汚染物質の濃度変化からみて, 硫黄についてこのような特異な濃度変化を生じさせる発生源は関東都市周辺にはないと推察された。そこで硫黄酸化物の長距離輸送に着目して, 気象の全球客観解析データを用いてラグランジュ的に仮想粒子群の移流を解析した。その結果, 定性的な事例解析ではあるが, 関東で夜間観測された特異な濃度は, 3日程前から桜島から放出された煙の影響である可能性が高いことがわかった。

著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top