大気環境学会誌
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各種フロンの産業廃棄物焼却施設での分解
浦野 紘平加藤 みか木村 ちづの田崎 智宏
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1997 年 32 巻 5 号 p. 331-340

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抄録

成層圏のオゾン層を破壊し, 地球温暖化への寄与率も高いフロン類は, 不要となった製品や設備から回収し, 安全, 確実, 経済的に分解処理することが求められている。そこで, 本研究では, 経済的に広く実用できる可能性が高い既存のロータリーキルン式産業廃棄物焼却施設で, CFC-11, 12, 113, HCFC-22の4種類のフロンを約20kg/ hの規模で分解処理する実験を12回行い, フロン分解率と揮発性有機塩素化合物の生成の有無を確認するとともに, 排ガス中の塩素水素やふっ化水素, ダイオキシン類等の濃度を調べた。
水素および酸素が過剰な条件になっているため, 平均焼却ガス温度約850℃, ガス滞留時間約2秒で, 4種類のフロンはいずれも99.99%以上分解でき, 他の揮発性有機塩素化合物類の生成もないことが確認された。また, フロン類の分解に伴って生成する塩化水素やふっ化水素は, 既存の排ガス処理設備で確実に除去され, ダイオキシン類濃度も低く, 大気環境中濃度に対する寄与率も最大1%程度にしかならないことが確認された。また, フロン類を導入してもキルン内のレンガの著しい劣化や消耗はないと考えられた。
以上のように, 産業廃棄物焼却施設で各種のフロンを安全・確実に分解処理できることが実証できた。

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