抄録
悪臭対策として, 活性炭吸着法はもっとも利用される方法の一つである。その設計に関しては, 吸着容量や速度が重要な因子である.これらの因子は, 使用する温度や湿度の条件により大きな影響を受ける。そこで, 硫化水素を用いて活性炭吸着における温湿度の影響を実験室的に検討した。活性炭による硫化水素の除去は, 単に吸着だけでなく酸化作用を伴うため, 現象は複雑であった。すなわち物理吸着量は温度上昇により減少する半面, 酸化分解速度は温度上昇により増加した。また, 被処理ガスの湿度が大きくなると除去能力が大きくなった。また, 除去速度は硫化水素の濃度にも大きく依存した。活性炭吸着設計ではこれらの因子を的確に把握することにより, より経済的で有効的な利用が可能になると思われた。