抄録
窒素系悪臭化合物に対する最適な脱臭剤 (吸着剤) を選定することを目的として, アンモニアを対象として各種吸着剤について静的吸着法と動的吸着法による性能検定を行った。
静的吸着法による性能検定においては, 物理吸着剤と化学吸着剤を含む21種類の市販吸着剤について, アンモニア吸着量を測定した。高い吸着能を有する吸着剤は物理吸着剤ではNo.6, 化学吸着剤ではNo.18, No.19, No.20であり, 吸着温度30℃, 平衡圧力50mmHgにおいてそれぞれ0.0160g/g, 0.0284g/g, 0.0250g/g, 0.0249g/gの吸着量を示した。各吸着剤に対するアンモニアの吸着型はフロインドリッヒ型に適合していた。また, 比表面積, 細孔容積, 平均細孔半径, pHと吸着量の関連性を検討したが, pHとの間に相関性が認められた。したがって, pHは吸着剤の選定指標になりうることが明らかとなった。
動的吸着法による性能検定においては, 前記4種類の吸着剤について, 10%破過時間を指標として検定を行った。静的吸着法で吸着量の大きな吸着剤の方が破過時間は長くなるが, 吸着量と破過時間の間には比例関係は認められなかった。したがって, 吸着剤の性能検定においては, 静的吸着法の吸着量による検定だけでは不十分であり, 動的吸着法の破過時間による検定が重要であることが明らかとなった。