抄録
新たなガス状物質の濃縮方法の開発を目指して, 人工肺を用いたSO2の捕集を検討した。人工肺の血液流路にSO2捕集液を, 空気流路に低濃度SO2ガスを流して, 実験ガス中のSO2濃度, 実験ガスの流量と湿度, 捕集液送液流量を変化させ, SO2の捕集効率と物質収支を調べた。それらの実験により, 人工肺に塩基性の捕集液を流しておき, 実験ガスを通気すればSO2が捕集液中に取り込まれ, 捕集されることならびに物質収支がとれることがわかった。また, SO2の人工肺による捕集効率はSO2濃度, 実験ガス湿度や捕集液送液流量には依存せず, 実験ガス流量によって支配されることがわかった。
実験ガス流量を増加させると, 捕集効率は低下するが, 実験ガス流量を約6.4倍 (1.1L/minから7.0L/min) にしても捕集効率は40%程度の低下を示すのみであった。そこで, 実験ガス流量と捕集効率の積を単位時間内に捕集させるSO2量, 規格化捕集量α と定義し, 実験ガス流量とαの関係を調べた。実験ガス流量を1.1L/minから7.0L/minと6.4倍した場合, α は4.4倍になることが分かった。よって, 大流量で空気を捕集すれば, 単位時間内に捕集されるSO2量 (α) は増加するので環境濃度レベルであっても, 捕集液を循環させることによりSO2の濃縮捕集は可能と考えられる。