大気環境学会誌
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市街地の車道トンネルにおける自動車起源揮発性有機化合物の組成
桜井 健郎田辺 潔森口 祐一若松 伸司針谷 謙一
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2000 年 35 巻 6 号 p. 343-354

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抄録

揮発性有機化合物 (VOC) を中心とした, 日本における現在の交通由来排出物質の組成の一例の調査, その結果の, 既存のトンネル・道路脇研究や, 台上試験のデータとの比較, 更に対象トンネルでの排出係数の推定を目的とした研究を行った。
測定対象は非メタン炭化水素, ホルムアルデヒド, 1, 3-ブタジエン, ベンゼン, トルエン, スチレン, エチルペンゼン, m-/p-キシレン, o-キシレン, 1, 3, 5-トリメチルベンゼン, 1, 2, 4-トリメチルベンゼン, 一酸化炭素, 窒素酸化物である。首都圏の市街地の車道トンネルで, トンネル内と外気中の濃度を2時間ごと24時間にわたって測定した。車種構成は全時間帯を通じてほぼ・一定であり, ガソリン車が大部分を占めると考えられた。
トンネル内過剰濃度 (=トンネル内濃度一外気濃度) の相対誤差が小さく, 比較的信頼性の高い組成を与える, 五つの時間帯の平均組成を議論した。
非メタン炭化水素に対する個別VOCの寄与は, 体積炭素濃度において, トルエンが16%と最も大きく, ホルムアルデヒドを除く, 測定した九の個別VOCの合計で平均40%を占めた。濃度の平均組成は, 海外でのトンネル・道路脇研究の結果とおよそ一致した。また国内の台上試験との比較ではディーゼル車よりもガソリン車に近い組成に示し, これは上述の車種構成と矛盾しない。更に, 文献での排出係数を用いて, 対象トンネルでの排出係数の推定を試みた。

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