大気環境学会誌
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大阪・兵庫地域における光化学オキシダント濃度と一次原因物質排出量の関係に関する研究
金 道龍山口 克人近藤 明惣田 訓
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2001 年 36 巻 3 号 p. 156-165

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抄録

光化学オキシダントはその発生機構が複雑であり, 発生源と汚染地域の相互関係の把握が難しく, これまで様々な研究が行われてきたが, 未だ完全にその発生メカニズムの解明や削減対策などが解決されていない。しかしながら, 光化学オキシダントは人間の健康にとって有害であり, その対策は急務である。そこで本研究では, 光化学オキシダント生成の原因物質である窒素酸化物質と炭化水素の排出量とオキシダント濃度との関係を, 換気による濃度希釈, 地表面への沈着, 光化学反応による変質, および混合層高度の時間変動を考慮した2ボックスモデルを用いて, 解明を試みた。まず, 大阪・兵庫県の3地域で, この2ボックスモデルを用いて現状計算を行った結果, 二酸化室素, 一酸化窒素, 二酸化硫黄, およびオキシダント濃度の計算値と観測値は, 良好な一致を示した。また, オキシダント濃度に関する残差平均値, 残差絶対値平均, 残差標準偏差および相関係数の統計値から, このモデルによるオキシダント濃度計算の再現性が確かめられた。次に, NOxおよびHC排出量削減がオキシダント濃度に及ぼす影響を調べた。HC排出量を削減するとオゾン (O3) 濃度は常に減少するが, HC排出量の削減が無い場合, NOx排出量削減率が小さいと03濃度は逆に増加することが示された。また, HC排出量成分中ではキシレンが最も03濃度減少に効果的であることが示された。

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