大気環境学会誌
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一般環境濃度を用いた有害化学物質の都内総排出量の算出
岩崎 好陽早福 正孝老川 進
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2001 年 36 巻 3 号 p. 166-173

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抄録

東京都内において, 有害化学物質の大気排出量を把握することは, 対策を検討する上で重要である。しかし今まで行われてきた調査の方法は, 調査期間も調査経費も膨大なものであった。今回, 一般環境濃度から, その化学物質の年間排出量を試算する方法を検討した。既存の調査によって得られた化学物質の年間排出量 (x) とその年の一般環境濃度の年平均値 (バックグラウンド分を差し引いたもの, 以下年平均値増加分という: y) との関係が非常に相関性の高いことを明らかにした。(相関係数0.994)
logy=0.94logx-2.49
その関係を用いて一般環境濃度の年平均値増加分を知ることにより, 都内総排出量を試算することが可能である。この関係から, 排出量の算出が困難であった東京都内におけるフロン類の排出量を経年的に試算した。更にベンゼン, アルデヒドなどの有害化学物質の都内総排出量の試算を行った。
また, これらのデータから東京都における空気の換気回数は1日当たり約0.7回程度と推定された。

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