大気環境学会誌
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二酸化硫黄の大気中年平均濃度と推定排出量との関係から見かけの空間希釈容量の試算
名古屋市での9年間のデータから
山神 真紀子大場 和生大野 隆史北瀬 勝酒井 哲男渡辺 征夫
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2003 年 38 巻 1 号 p. 13-25

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抄録

国内で使用されている軽油中の硫黄含有量は, ここ10年間で二度の規制値の変更があり, 大気中の二酸化硫黄(SO2)濃度は全国的に低下してきている。名古屋市における1990~1998年度でも同様な傾向が見られ, 詳細に経年変化を調べたところ, 大気中SO2年平均濃度と推定排出量との間には, 極めて明瞭な直線関係が認められた。この関係式から, 名古屋市全域の見かけの「総空間希釈容量」(Vd-t)として, 0.48×106km3/(326km2・年), また「単位空間希釈容量」(Vd)として4.03km3/(km2・日)を得た。愛知県についても幾分低いが同様な値を得た。また, これまでに公表されているSO2やNOxでの国内外の都市域での排出量と年平均値から, 同様にVdを試算し, これらが4倍の範囲に収まることを確認した。本報で導入した「単位空間希釈容量」は, 実際の希釈率を示すとは限らないが, 地域の汚染濃度推定, 排出量推定, あるいは汚染成分の動態などに対して実用的な係数や指標となり得ると期待される。

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