大気環境学会誌
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人工酸性霧, ガスおよびエアロゾルの寄与の違いによる金属溶出特性および各イオン成分の表面挙動
鳥山 成一大西 勝典近藤 隆之橋本 俊一
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2003 年 38 巻 4 号 p. 217-226

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抄録
酸性雨 (酸性霧又は純水霧) および雰囲気 (ガスとエアロゾル又はガスのみ) の違いによる金属溶出を3通りの条件下で金属溶出試験を実施し, 各種金属板の溶出特性および各イオン成分について検討した。
炭素鋼板中のFeイオン, アルミニウム合金板中のAlイオンの腐食寄与率は人工酸性霧分が74%, 79%と大きく, エアロゾル分が25%, 20%, ガス分がいずれも1%であり, 青銅板中のCuイオン, 銅板中のCuイオンの腐食寄与率は人工酸性霧分が55%, 51%, エアロゾル分が13%, 22%, ガス分が32%, 27%でガスの占める割合が大きくなる。その他のイオンは, 腐食溶出機構がかなり複雑なことが明らかとなった。
各金属板接触後の各イオン成分の濃度は, H+がブランクよりもマイナスになる以外は金属板上で各イオンの増加がみられた。ブランク成分と金属板接触後の成分の母集団に違いがないかt検定を行ったところ, 有意差の見られるイオン成分が多かった。これは, 腐食反応による各種金属イオンの溶出とともに, 金属の表面で何らかの化学反応や吸着反応が並行して進行していると考えられる。
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