大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
廃発泡スチロールとセメントを用いた吸音材上に固定した酸化チタン光触媒によるNOx除去
利根川 義男関口 和彦野村 公康坂本 和彦
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 38 巻 4 号 p. 227-235

詳細
抄録

現在, 人口過密な都市域において, 自動車から排出される窒素酸化物 (NOx) による局地汚染が問題視されている。また, このような都市域において, 自動車交通による騒音も問題視されており, 地方自治体により交通量の多い道路端に, 防音壁が設置されている。そこで本研究では, 廃発泡スチロールとセメントからなる高い吸音性を有する吸音材に, 酸化チタンを固定した新規触媒によるNOxの酸化除去について検討を行った。
本触媒では, 酸化チタンによる一酸化窒素 (NO) の酸化において, 中間生成物として脱離する二酸化窒素 (NO2) がセメントの吸着作用により触媒表面に吸着保持されるため, NOは硝酸まで酸化され, 高い除去効率を示すことがわかった。NOの除去は'NOの触媒への接触頻度に大きく依存し, 酸化チタン固定量の影響をほとんど受けず, 触媒のごく表面の酸化チタンが反応に関与しているものと推定された。また, 内径50mm/長さ50mmの円筒型触媒により触媒の活性が70%まで低下するまでの期間において, 2.37×10-4mol (7.11×10-3g) に相当するNOxを除去できることがわかった。本触媒では, NOx組成やSO2の有無にかかわらず, 高いNOx除去率が維持されることから, 通常の大気環境下において, 効果的にNOx除去が行われることが推察された。以上の結果から, 本触媒を交通過密で騒音が問題視される道路端で防音壁として利用することで, NOx濃度と騒音の同時低減に加え'本触媒作製において'廃発泡スチロールの再利用が促進でき, 環境負荷を低減できることも大きな特長の一つである。

著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top