大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
降水中の可溶性イオン量に対する琵琶湖の影響
石川 義紀
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 38 巻 5 号 p. 301-319

詳細
抄録

琵琶湖畔に位置する滋賀県立大学 (USP) において降水中のイオン量を1996年から6年間にわたって測定し, 降水中のイオン量に対する琵琶湖の影響を推定することを試みた。降水中のSO42-に関しては, 海水影響分を降水中のNa+量から推定し, 全量からこれを差し引いて人為起源のSO42-分とする (nssSO42-) ことが従来から行われてきた。しかし, 琵琶湖周辺においては降水中のCl-とNa+の存在比率が海水中の存在比率よりも低い場合があり, いわゆるChlorinelossのみでなく, 降水中Na+の由来が海水起源のみでなく湖水起源もあることが試料採取位置から考えられる。そこで, 降水中のMg2+量とNa+量は海水起源と湖水起源のみとの仮定の下に, 海水中および湖水中のイオン存在比率を用いて, 海水起源Na+と湖水起源Na+をそれぞれ推定した。これらの結果から, 海水起源のSO42-量と湖水起源のSO42-量を算出し, 降水中のその他起源のSO42-量を求めることができた。その他起源のSO42-は従来の算出法によるnssSO42-よりも10~20%少ないものと推定された。

著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top