抄録
大気中のダイオキシン類をハイボリウムおよびローボリウムサンプラーを用いて採取し, ガス・粒子分配を検討した。ダイオキシン類のうち, PCDD/Fsの同族体毎のガス態の割合は, 低塩化物ほど, また気温が上がるほど増加する傾向が得られた。特に, 4, 5塩化物が気温の影響を受けやすく, 夏と冬ではその形態が大きく変化した。一方, 8塩化物は年間を通じてほぼ粒子態として捕集された。Co-PCBsの場合も低塩化物ほど, また気温が上がるほどガス態の割合が増加したが, 同じ塩素数ではPCDD/Fsに比べCo-PCBsの方がガス態の割合が多かった。PCDD/Fs, Co-PCBsの各異性体を比較した場合には, 同族体の中でも塩素置換位置がガス・粒子分配に影響するだけでなく, 高塩化物の方がガス態の割合が多い例も存在した。2種のサンプラーを用いた検討では, 流速や採取期間がガス・粒子分配に影響することが示唆され, 低流量, 長期採取法の方がガス態を高めに評価することが明らかとなった。