2005 年 40 巻 1 号 p. 32-39
新潟平野の西部に位置する弥彦山山頂 (「山頂」という。) で霧水と降水を, その北東約9kmの角田山の山麓 (「山麓」という。) で降水を捕集し, 主要イオン種成分濃度と窒素同位体比を測定した。主要イオン成分濃度は, 概ね, 山頂降水, 山麓降水, 霧水の順に濃度が高く, 霧水および降水とも冬季に海塩成分濃度が増加した。捕集水量で重み付けした霧水, 山頂および山麓降水中のアンモニウムイオンの窒素同位体比は, それぞれ,-3.0, -1.8および-4.0‰と山麓降水が最も低く, 特に5, 6月の低下が大きかった。これは, 農業活動などに由来し地表面から放出されるδ15N値が低いNH3の影響を受けたものと考えられる。一方, 霧水, 山頂および山麓降水中の硝酸イオンの窒素同位体比は, それぞれ,-3.0, -4.5および-4.4%。と山頂および山麓降水では同程度であり, 霧水は降水よりもやや高い値を示しこれらは冬季に高い値を示した。