大気環境学会誌
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PTFE/不織布メンブレンフィルタのべータ線吸収法によるPM2.5計測への適用
篠原 政良水野 裕介村尾 直人太田 幸雄
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2007 年 42 巻 5 号 p. 292-300

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抄録

PTFEフィルタと, PTFEフィルタを補強するための不織布から成る, TFHフィルタ (TFH-01およびTFH-47) を開発した。このTFHフィルタは, 吸湿性も小さく, 重量が小さいことから, 秤量や計測誤差が小さい。さらに強度があり, 帯電性が少ないことから, PM捕集計測用のフィルタとして最適な性能を有している。これらのことから, TFH-01を装着したPM2.5のβ線吸収法自動測定機は, 従来のガラス繊維フィルタを装着したβ線吸収法自動測定機では, 感度不足による誤差の多いPM2.5以下の低濃度領域の測定感度を向上させることが可能であると考えた。そこで確認実験を行った結果, 今回開発したTFH-01を装着したβ 線吸収法自動測定機は, PM2.5の自動測定機としての用件である「標準測定法と同等な測定値もしくは良好な相関を持つこと」および「低濃度 (2μg/m3) から高濃度 (数100μg/m3) まで安定した測定値が得られること」,「1時間平均値の測定が可能であること」を満たすことを確認した。またTFH-47が, 暫定マニュアルの標準測定法のフィルタとして使用できることも示された。すなわち, TFHフィルタは, PM2.5のβ線吸収法と標準測定法の両測定法に使用可能なフィルタである。

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