体力研究
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中年女性の更年期症状および抑うつ症状に対する ストレッチの効果:ランダム化比較試験
―Menopause に掲載された英語論文の日本語による二次出版―
甲斐 裕子永松 俊哉北畠 義典泉水 宏臣
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2020 年 118 巻 p. 18-26

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抄録

目的:運動は中年女性の更年期症状および抑うつ症状の緩和に繋がると考えられるが,現在のところこ の理論を支持する知見が十分に蓄積されていない。頻繁に行う中高強度の運動は更年期のホットフラッ シュのリスクと関連する可能性があるが,ストレッチのような低強度運動は,ホットフラッシュの発生を 高めないと考えられる。しかしながら,低強度運動が更年期症状と抑うつ症状へ与える影響はほとんど知 られていない。そこで, 3 週間のストレッチプログラムが日本人中年女性の更年期症状および抑うつ症状 へ与える影響について検討した。 方法:40~61歳までの日本人女性40名が採用された(平均年齢,51.1±7.3歳)。参加者はストレッチ群あ るいはコントロール群に無作為に割り当てられた。ストレッチ群(n = 20)は毎日就寝直前に行う10分間の ストレッチを含む 3 週間の介入プログラムに参加した。コントロール群(n = 20)は待機リストに割り当て られた。更年期症状は,血管運動神経系症状,精神神経系症状と運動神経系症状を測定する簡略更年期指 数を用いて評価された。抑うつ症状は,自記式抑うつ評価尺度を用いて評価された。 結果:3週間の介入期間の遵守率は75.8%であった。ストレッチ群における血管運動神経系症状,精神 神経系症状,運動神経系症状,簡略更年期指数の合計得点,および自記式抑うつ評価尺度得点は,コント ロール群と比較して有意に低下した。研究期間を通して,参加者から,ホットフラッシュの増加などの有 害事象は報告されなかった。 結論:これらの知見から,就寝前の10分間のストレッチは日本の中年女性における更年期症状および抑 うつ症状を低下させることが示唆された。

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© 2020 公益財団法人明治安田厚生事業団
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