体力研究
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日本人ホワイトカラー勤労者における在宅勤務頻度と加速度計で測定した身体活動および座位行動との関連性:明治安田ライフスタイル研究の横断的分析
―Journal of Physical Activity and Health に掲載された英語論文の日本語による二次出版―
北濃 成樹藤井 悠也和田 彩川上 諒子吉葉 かおり山口 大輔甲斐 裕子荒尾 孝
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2025 年 123 巻 p. 30-51

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抄録
背景:これまでに在宅勤務と身体活動および座位行動との関連性は検討されてきたが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する厳格な対策がない期間におけるこの関連性は十分に明らかにされていない。特に,その関連性に対する潜在的な効果修飾を評価した研究はほとんどない。そこで本研究では,パンデミック後期の日本人ホワイトカラー勤労者を対象に,在宅勤務頻度と加速度計で測定した身体活動や座位行動の関連性,およびその効果修飾因子を検討することを目的とした。
方法:2022年4月から2023年3月にかけて,首都圏在住のホワイトカラー1133名を対象とした横断研究を実施した。在宅勤務頻度は自己報告式の質問票により評価し,平日の身体活動と座位行動を3 軸加速度計により測定した。潜在的交絡因子を調整した線形回帰モデルを用いて,在宅勤務頻度と身体活動や座位行動との関連性を検討した。
結果:活動強度にかかわらず,週1~2日でも在宅勤務を行う者は,そうでない者と比較して,身体活動が少なく,座位行動が多いことが示された(P < 0.05)。例えば,週5日以上の在宅勤務を行う者と全く行わない者とでは,総身体活動に約70分/日,歩数に約4000歩/日の差があった。在宅勤務に関連した身体活動の低下は,高齢者,女性,低学歴者,営業・サービス業,非正規スタッフ,運動習慣や食習慣の改善に対する関心のない者でより顕著であった。
結論:在宅勤務は日本人ホワイトカラー勤労者の身体活動の低下や座位行動の増加と関連し,こうした関連性はいくつかのサブグループでより顕著であった。
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