太成学院大学紀要
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政治言語論
:国家社会主義ドイツ労働者党1925-1934 (2)
金杉 高雄
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2018 年 20 巻 p. 13-24

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抄録

1933年1月30日(月),ヒトラーはドイツの首相に就任した。ヒトラーが政権を掌握したときのドイツ帝国は約500万人にも及ぶ登録失業者を抱えていた。3月以降,ヒトラーはナチ党の政治に対する世界観を確固たるものにすることを目的に幾多の法令を制定することに取り掛かる。共和国大統領令を発令することに加えて,1933年3月23日(木)には全権委任法を可決させ絶対的な独裁政治へと国民を引きつり込むのである。独裁政治への道のりとして国民を扇動することに長けていたゲッベルスはナチ党の政治に対する世界観を国民に刷り込むことを目的とした様々なプロパガンダを企画・展開し陰の総統として大きな役割を果たした。政権掌握後,初めての党大会は1933年8月30日(水)~9月3日(日)にかけてニュルンベルグのツェッペリン広場で行われた。参加者は40万人に上り大成功を収めた。1934年8月2日(木),ヒンデンブルグ大統領が崩御すると,ヒトラーは大統領の全ての権限を首相に併合させた「総統」という新たな地位に就いた。「総統」の是非を問う国民投票では90%以上の賛成票を得ていたのである。

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