「何のために英語を学ぶのか?」という問いかけに対して,「グローバル時代だから,英語ができるようになっておかないといけないのではないか」等の漠然とした返答をよく耳にする。グローバル化の時代,文部科学省は将来のグローバル人材育成のための基礎を築く戦略の一つとして,2020年より小学校3・4年から外国語活動を,5・6年からは外国語科としての授業を義務づけている。すなわち,小学校5・6年からは教科としての「英語」が必修となり,教科書が選定され,英語の成績が成績表に記載される。英語の成績に関しては,明確な目的意識を持っているかどうか,が成功する者と失敗する者とを分ける鍵になる。例えば,自分の人生の目標を達成するためには英語ができるようになることが絶対に必要だ,という環境に置かれれば,英語の習得は成功するであろう。自分の人生の目標を見つけるため等と称して,とりあえず,語学留学してみようという漠然とした動機では失敗に終わる。また,英語さえできればそれで良い,というわけでもない。異なる文化,生活習慣,価値観を持つ人々との多文化共生の中でお互いを認め合いながら,共に生活することができる異文化間能力が我々に求められている。