胆道
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原著
肝外胆管に拡張のない膵・胆管合流異常での胆道内における膵液逆流,うっ滞の検討―セクレチン負荷MRCPからみた考察―
大東 誠司小野寺 久
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2010 年 24 巻 1 号 p. 65-72

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抄録

要旨:肝外胆管に拡張のない膵・胆管合流異常における膵液逆流,うっ滞についてセクレチン負荷MRCPを用いて検討し,治療方針の是非を考察した.対象:肝外胆管径10mm以下の膵・胆管合流異常6例,コントロール2例.方法:セクレチン1U/kg静注後,60秒毎に連続して15分後までのdynamic MRCPを撮影.得られた画像からtotal pixel value,intensity ratioを算定し,胆嚢および肝外胆管intensityの変化を検討した.結果:(1)胆嚢でのtotal pixel valueは肝外胆管より有意に高く(15分後p=0.024),intensity ratioもコントロール群より上昇しており(15分後p=0.047),胆嚢が主なうっ滞部位であった.(2)肝外胆管でもintensityの上昇を認めたが,うっ滞は持続的ではなかった.(3)胆嚢切除1年後の肝外胆管intensity ratioの推移は術前に比較して変化はなかった.結論:胆嚢を切除することは極めて妥当であるが,肝外胆管に関しては一定の結論は出せなかった.程度の差はあるが肝外胆管にも膵液逆流,うっ滞があることが示唆され,肝外胆管を温存した場合では長期的な経過観察は必須である.

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© 2010 日本胆道学会
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