抄録
要旨:1992年からの16年間に腹腔鏡下一期的手術を419例に施行した.術式の内訳は,経胆嚢管法203例,胆管切開法216例であった.成功率は97%で,平均手術時間は181分,入院日数は9.7日,合併症は38例(9.1%)であった.術式別では,経胆嚢管法,成因別では落下結石の手術成績が良好であった.手術時間は経験数に比例して短縮し,チームでは100例,個人では40例で安定した.手術時間に影響する因子は,経胆嚢管法では,胆嚢炎の程度,結石径,胆管切開法では胆嚢炎の程度であった.再発は7.9%で,多変量解析では再発の有意な危険因子は結石の成因であった.落下結石,コレステロール結石ではEST例に比し再発率は低く,乳頭機能温存の重要性が確認された.胆管結石の治療法の選択は成因にもとづいて行うべきであり,一期的手術は,落下結石に対する理想的な治療法である.