胆道
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原著
高齢者切除胃症例における前方斜視鏡を用いた経乳頭的治療の検討
仲程 純菊山 正隆笹田 雄三小出 茂樹大田 悠司
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2010 年 24 巻 4 号 p. 561-568

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抄録
要旨:1996年4月から13年間に前方斜視鏡を用いて内視鏡的結石除去術を行った総胆管結石を有する75歳以上の高齢者患者でBillrothII(B-II)法あるいはRoux-en-Y(RY)法再建切除胃症例14例を対象とした.B-II症例は10例(男:女=5:5)平均年齢81歳(76-89),RY症例は4例(男:女=4:0)平均年齢81歳(75-90)であった.十二指腸乳頭到達平均時間および到達率は,B-II症例8分・100%(10/10),RY症例23分・75%(3/4)であった.平均手技時間はB-II症例28分間,RY症例49分間であった.手技完遂率はB-II症例90%(9/10),RY症例75%(3/4)であった.手技困難例の内訳はB-II症例で傍乳頭憩室陥頓により乳頭視認困難,RY症例で乳頭到達困難によるものであった.ERCP後膵炎,出血,穿孔はなかった.短時間の乳頭到達,経乳頭的治療の完遂がともに可能なB-II症例は,前方斜視鏡を用いた総胆管結石治療の積極的適応と考えられた.RY症例では経乳頭的治療は適応を含めてまだ検討を要すると考えられた.
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© 2010 日本胆道学会
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