抄録
要旨:胆嚢癌との鑑別が困難であった胆嚢線維性ポリープの一例を報告する.症例は59歳男性.十二指腸潰瘍にて当院内科通院中,肝機能異常を認め,精査の腹部エコーで,胆嚢内に14mm大のポリープが指摘された.ソナゾイド造影ではポリープ基部から内部に線状に流入する血流が認められた.CTでは体部腹腔側に造影効果を有する隆起性病変を認め,ダイナミックMRIではリング状の造影効果を示した.EUSでは表面は結節状,内部は実質様エコーであった.以上より,早期胆嚢癌を強く疑い,開腹下に胆嚢床切除+12c郭清を施行した.摘出標本では,体部に茎を有する淡黄色桑実状,15×15mm大のポリープが認められた.組織学的には表面は単層立方上皮で被覆され,毛細血管の増生と軽度の炎症細胞浸潤を伴う疎な間質から成っており,線維性ポリープと診断された.大きな胆嚢ポリープの鑑別診断として,線維性ポリープを考慮すべきと考えられた.