抄録
要旨:症例は83歳男性で,横隔膜肋骨角鈍化および心窩部痛精査のため前医を受診し,USとCTにて総胆管と主膵管の拡張を指摘された.十二指腸乳頭部腫瘍疑いにて確定診断目的に内視鏡的乳頭切開(EST)と擦過細胞診が施行されたが,EST後に状態が悪化し当院へ転院した.転院後,当日に内視鏡的乳頭切開後の汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.乳頭部病変に対しては全身状態の改善を待って再精査を行ったところ,乳頭腫大,総胆管と膵管の拡張を認め,悪性の病理診断が得られなかったものの非露出腫瘤型の十二指腸乳頭部腫瘍を疑いPPPDを行った.術後は栄養管理とリハビリを要したが術後28日目に退院した.病理では平滑筋,付属腺と導管周囲腺の増生を認め十二指腸乳頭炎と診断した.術後8カ月現在生存中である.腫瘍との鑑別に苦慮した十二指腸乳頭炎切除例の報告は少なく貴重であるため報告する.