抄録
要旨:肝門部胆管癌では切除再建限界で肝内胆管が切離された場合,上流側胆管断端を十分長く追加切除するのは難しく,たとえ数mmの追加切除で断端が陰性化しても予後が改善する可能性は低い.想定している術式で上流側胆管断端が心配である場合,より広範囲に切除する根治的な術式,具体的には胆管切除→肝区域切除,右葉切除→右三区域切除,左葉切除→左三区域切除が可能かどうかを検討する.表層進展については,これで断端が陽性となっても統計学的にはその予後は断端陰性例と変わらない.しかし,断端に残れば10年前後で進行癌として再発してくるので,80歳以下で肝機能に問題が無く主病巣がおとなしいような症例では,表層進展も全て確実に切除することが望ましい.一方,肝機能からみて大きい切除はriskが高い,或いはリンパ節転移など予後不良因子がある場合には,表層進展の全切除に拘る意義は少ない.