抄録
要旨：症例は65歳，女性．他院で胆嚢底部癌に対して胆嚢摘出術を施行し，術後病理で高分化型管状腺癌，ss，pN0，fStage II，fCur A（胆嚢管断端陰性）と診断された．術1年後，FDG PET-CTにて肝に異常集積が認められた．精査の結果，表層拡大型胆管癌及び胆管癌肝転移と診断し，根治的切除目的に，肝右葉・肝外胆管切除術を施行した．病理組織では高分化型乳頭状腺癌，pHinf3，pT4，pN0，fStage IVaの表層拡大型胆管癌であり，肝腫瘤は転移ではなく表層拡大型胆管癌が右肝内で腫瘤を形成したものであった．本症例は，表層拡大型胆管癌が肝内で腫瘤を形成し，膵・胆管合流異常を伴わない，胆嚢癌との異時性胆道系重複癌をきたした稀な症例であった．
